一年遅れで30,995円が戻ってきた
去年の年末調整で、iDeCoの掛金を申告し忘れた。
気づいたのは今年に入ってからで、結局その年分は確定申告をやり直すことになった。送信したのは2026年10月7日。戻ってきたのは30,995円だった。
忘れなければ、去年の12月の給与で受け取れていた金額だ。一年近く国に預けていたことになる。利息はつかない。
金額そのものより、「やることをやっていれば自動的に受け取れたものを、知らずに放置していた」という事実のほうが応えた。同じことをしている人は相当数いると思うので、仕組みごと書いておく。
なぜ忘れるのか
iDeCoの掛金の払い方には二種類ある。
- 事業主払込:給与から天引きされる。会社が把握しているので、年末調整で自動的に処理される
- 個人払込:自分の口座から引き落とされる。会社は知らないので、自分で申告しないと何も起きない
自分は個人払込だった。毎月きちんと引き落とされているので、払っている実感はある。だが会社はその事実を知らない。申告しなければ、控除されないまま年末調整が終わる。
厄介なのは、何のエラーも出ないことだ。給与明細にも源泉徴収票にも「iDeCoの申告が漏れています」とは書かれない。黙って税金が多めに引かれて終わる。自分から取りに行かないと戻ってこない仕組みになっている。
引き落としの通知を見て「払った」と思っていても、税金が安くなったかどうかは別の話だ。ここが分離していることに、自分は一年気づかなかった。
忘れても5年は取り返せる
救いがあって、申告を忘れても取り返せる。
年末調整で漏れた場合、翌年1月1日から5年以内であれば還付申告ができる。確定申告の期間(2月16日から3月15日)とは別枠で、期間外でも受け付けてもらえる。自分が10月に送信できたのはこのためだ。
5年という猶予は長い。心当たりのある人は、過去の源泉徴収票を引っ張り出して、小規模企業共済等掛金控除の欄に金額が入っているか見てみるといい。空欄のまま掛金を払っていた年があれば、それは取りこぼしている。
必要なのは、その年の源泉徴収票と、当時の掛金払込証明書だ。証明書を捨てていた場合は、国民年金基金連合会に再発行を依頼することになる。
今年の証明書を読む
10月の後半に、今年の掛金払込証明書が届いた。正式名称は「小規模企業共済等掛金払込証明書」で、国民年金基金連合会から送られてくる。
中身はこうなっていた。
| 期間 | 月額 | 備考 |
|---|---|---|
| 1月〜3月 | 20,000円 | |
| 4月〜9月 | 23,000円 | 途中で増額した |
| 10月〜12月 | 23,000円 | 証明書発行時点では予定額 |
そして下部に三つの数字が並んでいる。
- 本年9月までに払い込まれた金額:198,000円
- 10〜12月に払い込まれる予定金額:69,000円
- 合計金額:267,000円
証明書の発行日は10月15日時点なので、10月以降の欄はアスタリスクで伏せられている。まだ引き落とされていないからだ。
書くのは合計金額だけ
ここが一番の注意点になる。
年末調整の申告書に書くのは、一番下の合計金額267,000円だ。10月から12月のぶんはまだ引き落とされていないが、その予定額を含めた金額を書く。
自分で計算してはいけない。自分の場合、4月に掛金を20,000円から23,000円に増額している。月額×12で計算すると、20,000円基準なら240,000円、23,000円基準なら276,000円になり、どちらも正しくない。証明書の数字をそのまま写す以外に正解がない。
掛金を年の途中で変更した人、口座振替の回数が12回でない人は特に注意がいる。「だいたいこれくらいのはず」で書くと、証明書の金額と合わずに差し戻される。
記入する場所は、給与所得者の保険料控除申告書の中にある「小規模企業共済等掛金控除」の枠、その中の「個人型年金加入者掛金」という行だ。この名称は国の様式で決まっているので、会社のシステムが何であっても同じ文言になっているはずだ。
金額を書いたら、証明書の原本を提出する。コピー不可とされることが多いので、なくさないようにしたい。自分は届いた日に申告書類と一緒にクリップで留めた。
いくら戻るのか
267,000円が課税所得から引かれると、どれくらいの効果になるか。
所得税率20%(復興特別所得税込みで20.42%)の帯にいる場合、所得税で約54,500円、住民税10%で26,700円。合計すると8万円前後になる。
ただしこれは概算だ。自分は課税所得が330万円の境目に近いので、控除によって一部が10%の帯に落ちる可能性がある。その場合、実際の軽減額はもう少し小さくなる。正確な数字は年末調整の結果を見ないとわからない。
なお去年の還付30,995円は、確定申告で戻ってきた所得税のぶんだけだ。住民税のほうは翌年度の税額が下がる形で反映されるので、実際の効果はこの金額より大きかったことになる。還付通知の金額だけ見て「思ったより少ない」と感じたが、住民税を含めれば計算は合っていた。
ふるさと納税の枠は縮む
一つ、他の制度との関係も書いておく。
iDeCoで課税所得が下がると、住民税所得割額も下がる。ふるさと納税の控除上限は住民税所得割額の2割で決まっているので、上限も一緒に縮む。
自分の数字で計算すると、267,000円の所得控除で住民税所得割がおよそ26,700円減る。その2割だから、ふるさと納税の枠は5,000円強縮む計算になる。
とはいえ、iDeCoの節税効果は8万円前後。ふるさと納税の枠が5,000円縮むことを嫌ってiDeCoを削るのは、完全に本末転倒だ。順番としては、iDeCoを先に決めて、残った枠でふるさと納税をする。
この話はふるさと納税の記事にも書いた。あちらでは「数千円ぶん縮む」としか書けなかったが、証明書が届いたので実額が出せるようになった。
来年はもっと大きくなる
2027年から、自分の掛金拠出限度額は月62,000円に上がる予定だ。
満額で拠出すれば年間744,000円。今年の267,000円の約2.8倍になる。節税効果も比例して大きくなり、年間で15万円前後を見込んでいる。
これには別の意味もある。2027年は昇給で課税所得が330万円の境目に近づく年で、税率20%の帯に入る可能性がある。iDeCoを満額で拠出すれば、課税所得を押し下げて帯の内側に留まれる計算になる。
手続きはまだ着手していない。掛金の変更は届出が必要で、反映にも時間がかかるので、年内には動くつもりでいる。
今年やること
- 掛金払込証明書を受け取る(10月下旬に到着)
- 保険料控除申告書の「個人型年金加入者掛金」に267,000円と記入
- 証明書の原本を添付して提出
- 12月の給与明細で反映を確認
- 2027年分の掛金変更手続き
提出が済んで結果が出たら、この記事に追記する。
去年の失敗で学んだのは、「払っていること」と「控除されていること」は別だということだった。引き落としの通知は毎月届くが、控除されたかどうかは誰も教えてくれない。源泉徴収票の小規模企業共済等掛金控除の欄に数字が入っているかどうか、12月に自分で確認するしかない。


