ふるさと納税の返礼品が、2か月で1,500円値上がりしていた

2026.11.01公開

今年は59,000円を一つの自治体に寄付した。同じ返礼品を8月と10月に頼んだら、価格が1,500円違っていた。制度改正の前後が、自分の購入履歴にそのまま残っていた記録。

そもそもどういう制度なのか

先に全体の流れを書いておく。知っている人は飛ばしてほしい。

ふるさと納税は、寄付をすると税金が安くなる制度だ。正確には「好きな自治体に寄付すると、その金額から2,000円を引いた分が、翌年払う税金から差し引かれる」という仕組みになっている。

税金が減る額と寄付した額がほぼ同じなので、払う総額は2,000円しか変わらない。それなのに返礼品はもらえる。これが「お得」と言われる理由だ。減税というより、払う先を自治体に付け替えて、おまけを受け取っているイメージが近い。

手順は五段階になる。

段階 やること 時期
1 自分の上限額を調べる 寄付する前
2 自治体を選んで寄付する(決済する) 12月31日まで
3 返礼品と「寄附金受領証明書」が届く 寄付の数週間後
4 ワンストップ特例の申請書を出す、または確定申告する 翌年1月10日/3月中旬
5 税金が減る 翌年6月から

一番大事なのは1番目だ。上限額は収入と家族構成で決まり、人によって数万円単位で違う。ここを調べずに寄付すると、2,000円で済むはずの自己負担が膨らむ。

4番目を忘れると、ただの寄付になる。返礼品はもらえるが税金は一円も減らない。申請を出して初めて制度として完成する。

5番目については、ワンストップ特例を使った場合は全額が住民税から引かれる。所得税の還付はなく、翌年6月から翌々年5月までの12回に分けて、毎月の住民税が少しずつ減っていく。確定申告した場合は所得税の還付と住民税の控除に分かれるが、合計額はほぼ変わらない。

つまり「払った実感はあるのに、戻ってくる実感は薄い」制度でもある。給与明細の住民税が月あたり数千円減るだけなので、気づかないまま終わる人もいると思う。自分は住民税決定通知書が来たら、金額が合っているか見るつもりでいる。

自己負担2,000円とは何なのか

「実質2,000円」という言い方を何度も見てきたが、自分もしばらく意味がわかっていなかった。調べたので整理しておく。

これは「適用下限額」という決まりから来ている。寄附金控除はもともと「2,000円を超えた部分から控除する」という設計になっていて、ふるさと納税もその土台に乗っている。だから計算式はすべて「寄付額 − 2,000円」から始まる。差し引かれる2,000円が、そのまま自己負担として残るという意味だ。

重要なのは、この2,000円が寄付1回ごとではなく、年間で1回ぶんだということ。何回寄付しても、何自治体に寄付しても、上限を超えない限り負担は2,000円のままだ。

自分は今年4回に分けて59,000円を寄付したが、自己負担は合計2,000円。1回あたりに均すと500円になる。逆に言えば、2,000円しか寄付しない人は全額が自己負担になり、何も戻らない。この制度は、ある程度まとまった額を寄付したほうが効率がいい。

もう一つ誤解しやすいのが、「2,000円を引いた金額が現金で戻ってくる」わけではないという点だ。戻るのではなく、翌年払う税金が減る。財布から出ていく総額が2,000円増えるだけで、その代わりに返礼品が手元に残る——という形になる。

だから「2,000円で返礼品が買える」のではなく、「払う税金の行き先を自治体に変えて、手数料2,000円を払う」と考えるほうが実態に近い。

今年いくら寄付したか

2026年のふるさと納税は、北海道長万部町に4回、合計59,000円を寄付した。返礼品はすべて同じで、蒸しほたて1.6kgの冷凍パック。4回で6.4kgになる。

寄付先は1自治体だけ。あちこちに分散させていない。理由は単純で、冷凍庫に入る量と、食べ切れる量と、自分が本当に欲しいものを考えたら、これ一つに絞るのが一番無駄がなかったからだ。自己負担の2,000円は寄付の回数ではなく年間で1回ぶんなので、分散しないことによる損はない。

スーパーで半額の刺身を買うのを楽しみにしている人間が、年に一度だけ6.4kgのほたてを手に入れる。この落差が気に入っている。

同じ返礼品が2か月で1,500円上がっていた

購入履歴を見ていて気づいたことがある。

  • 8月18日の注文:14,000円
  • 10月7日の注文:15,500円

同じ自治体の、同じ返礼品、同じ1.6kgで、差が1,500円。率にして約10.7%の値上がりだ。

寄付額1,000円あたりの内容量で見ると、8月は約114g、10月は約103g。同じ1,000円で、ほたてが11g減った計算になる。

2026年10月に何が変わったのか

ちょうどこの間に、制度の改正が入っている。

総務省は2025年6月24日付で告示を改正し、2026年10月以降の指定対象期間から新しい基準を適用すると発表した。見直されたのは地場産品の認定基準、セット品の構成比率、そして自治体が寄付金を事業に使う割合などだ。

自治体が事業に充てる割合は2026年10月から52.5%以上とされ、2029年までに段階的に60%へ引き上げられる。裏を返せば、返礼品や送料や手数料に使える部分が減っていくということになる。

8月と10月の1,500円差が、この改正によるものだと断定はできない。ほたての相場そのものが動いた可能性もあるし、自治体ごとの事情もある。ただ、時期は見事に重なっている。

そして方向としては、今後も同じ寄付額で受け取れる量は減っていく可能性が高い。「去年と同じ金額で頼んだのに量が少ない」という場面は、これから何度か出てくると思っている。

ポイントがなくなった後、何を基準に選ぶか

もう一つ、前提が変わっていることがある。

ポータルサイトのポイント還元は2025年9月末で終了し、2025年10月以降は原則として禁止された。かつては「どのサイト経由で寄付するか」で数%の差がついたが、その差はもうない。

結果として、選び方がシンプルになった。サイトを比較する意味が薄れたぶん、見るべきものが「寄付額あたりの内容量」と「本当に使い切れるか」の二点に収束する。

自分の場合、判断は次の順番だ。

  1. 冷凍庫に入り切るか
  2. 一人で食べ切れる量か
  3. 寄付額1,000円あたりの量が去年より悪化していないか

3番目が、今年から特に効いてくる項目になった。去年の履歴が残っているなら、同じ返礼品の去年の寄付額と比べてみるといい。自分は比べたことで1,500円の差に気づいた。

上限額は持株会で動いた

今年もう一つ変わったことがある。9月から従業員持株会を始めたことだ。

奨励金は拠出額の20%で、これは給与所得として課税される。9月から12月までの月次ぶんと、冬の賞与ぶんを合わせると、今年の給与収入は十数万円ほど上乗せされる計算になる。

ふるさと納税の控除上限は、収入と各種控除で決まる。収入が増えれば上限も上がる。年収600万円・独身(扶養なし)の目安がおよそ77,000円とされているので、奨励金の上乗せを含めれば8万円前後までは見込めそうだ。

ただしこれはあくまで目安で、iDeCoの掛金や社会保険料の実額で変わる。自分は年末調整でiDeCoを申告するぶん、課税所得が下がって上限も下がる方向に働く。実際に追加で寄付する前に、ポータルサイトの詳細シミュレーションに源泉徴収票の数字を入れて確認するつもりだ。

収入が増えたら枠も増える、という当たり前の話だが、気づかないと取りこぼす。給与以外の収入が増えた年は、ふるさと納税の上限も一度計算し直すといい。

iDeCoをやると枠は減る

上限額の話には続きがある。自分はiDeCoもやっているので、その影響を調べた。

iDeCoの掛金は小規模企業共済等掛金控除として全額が所得控除になる。課税所得が減るので、所得税も住民税も下がる。これがiDeCoの節税効果だ。

ところが、ふるさと納税の上限は住民税所得割額の2割で決まっている。課税所得が減れば住民税も減り、その2割である上限も一緒に縮む。つまりiDeCoをやるほど、ふるさと納税の枠は小さくなる。

ではどちらを取るべきか、という話になるが、これは比べるまでもなかった。

効果
iDeCo 年間の節税額が十数万円規模
ふるさと納税の枠減少 数千円分枠が縮む

自分の場合、iDeCoによる節税は年間で約14.9万円になる見込みだ。対してふるさと納税の上限が縮むのは、掛金額にもよるが数千円の範囲にとどまる。桁が二つ違う。iDeCoを削ってふるさと納税の枠を広げるのは、完全に本末転倒になる。

一般的にも、両者を併用した場合はiDeCoの節税効果のほうが大きいので併用したほうが得、とされている。順番としては「iDeCoを先に決めて、残った枠でふるさと納税をする」が正しい。

ただし計算の順序だけは注意がいる。上限額のシミュレーションをするとき、iDeCoの掛金を入力しないと枠を多く見積もってしまう。自分は2027年から掛金が月62,000円に上がる予定なので、来年は今年よりさらに枠が縮む。来年の寄付額を今年と同じ感覚で決めると超過しかねないので、必ず計算し直すつもりだ。

ワンストップ特例は「自治体数」ではなく「申込数」

ここが一番間違えやすいところだと思う。

ワンストップ特例が使える条件の一つは「1年間の寄付先が5自治体以内」。同じ自治体に何回寄付しても1自治体としてカウントされるので、自分の4回はすべて長万部町だから、自治体数は1。条件は余裕でクリアしている。

ただし、申請書は1枚ではない。同一自治体への寄付であっても、申込ごとに申請書を提出する必要がある。本人確認書類も申込ごとに付ける。

つまり自分の場合、必要なのは4セットだ。「1自治体だから1枚でいい」と思い込むと、3回ぶんの控除が消える。

なお、ワンストップ特例が使えるのは確定申告をしない人に限られる。自分はiDeCoを年末調整で申告するので確定申告は不要の見込みで、持株会の売却も特定口座(源泉徴収あり)なので申告不要。この前提が崩れたら——たとえば医療費控除を出すことになったら——ワンストップは無効になり、確定申告で寄付金控除を申告し直すことになる。

紙で出す以外に、オンライン申請という方法もある。マイナンバーカードとスマートフォンがあれば、申請書の郵送も本人確認書類のコピーも不要になる。対応している自治体に限られるが、自分のように同じ自治体へ複数回寄付していると、4セット分の書類を用意する手間がそのまま消えるので差は大きい。

上限を超えたらどうなるのか

残り枠の話をする前に、超えた場合のことを調べておいた。「上限を超えると全額自己負担」という説明をよく見かけるが、これは正確ではない。

ふるさと納税の控除は三つの部分でできている。

  1. 所得税の寄附金控除:(寄付額 − 2,000円)× 所得税率
  2. 住民税の基本分:(寄付額 − 2,000円)× 10%
  3. 住民税の特例分:残りを埋めて、自己負担を2,000円に収める部分

上限額というのは、このうち3番目に天井があることから来ている。特例分は住民税所得割額の2割を超えられない決まりで、ここに達すると3番目だけが打ち止めになる。

止まるのは3番目だけで、1番目と2番目は超過分にも効き続ける。自分の所得税率は20%(復興特別所得税込みで20.42%)なので、超過分については所得税から約20%、住民税から10%、合わせて3割ほどは戻ってくる計算になる。なお、ワンストップ特例を使う場合は所得税からの還付という形にはならず、相当額も含めて住民税から引かれる。内訳は変わるが、戻ってくる合計はほぼ同じだ。

つまり1万円超過した場合、丸ごと1万円を失うのではなく、自己負担はおよそ7,000円。全損ではない。

ただし、得でもない。返礼品の還元率は寄付額の3割が上限とされているので、3割戻ってきて3割ぶんの品を受け取る形になり、差し引きはほぼ行って来いだ。申請の手間を考えると、むしろ負けている。「超えたら破滅」ではないが「超えたら無意味」ではある、というのが実態に近い。

もっと上には別の天井もある。所得税の控除対象になる寄付額は総所得金額等の40%、住民税の基本分は30%が限度とされている。ただしこれに当たるには年収の3割以上を寄付する必要があるので、自分の水準では考えなくていい。

この仕組みを知っておくと、年末の判断が少し楽になる。上限ちょうどを狙って神経質になるより、少し手前で止めるほうが精神衛生にいいし、わずかに超えても致命傷にはならない。

二つの締切

年末が近いので、期限を整理しておく。

やること 期限
寄付の決済を完了させる 2026年12月31日
ワンストップ特例申請書を自治体へ届ける 2027年1月10日必着

12月31日は「申し込んだ日」ではなく「決済が完了した日」で判定される。クレジットカード以外の決済方法だと年をまたぐことがあるので、ぎりぎりを狙わないほうがいい。

1月10日は「消印有効」ではなく「必着」だ。年末年始を挟むので、郵便の日数を甘く見ないほうがいい。自分は12月中に出し切るつもりでいる。

残りの枠をどうするか

上限が8万円前後だとすると、59,000円を引いて2万円ほど残っている。ただしこの8万円という数字自体が目安でしかないので、ぴったり使い切ろうとはしない。前の節で見たとおり、少し超えても損失は超過分の7割程度で済むが、少し余らせるほうが気は楽だ。

自己負担の2,000円は年間1回ぶんなので、枠を余らせるほど1回あたりの効率は悪くなる。かといって、食べ切れないものを頼んで冷凍庫で化石にするのでは本末転倒だ。

残りは、常温で日持ちするものか、消耗品に充てようと思っている。ツーリングで使うものなら無駄にならない。

上限額の最終確認は、年末調整の結果が出てからにする。奨励金とiDeCoで両方向に動いているので、感覚で決めると危ない。

関連リンク

本記事は個人の記録であり、特定の金融商品の推奨や投資・税務上の助言ではありません。制度の適用可否は個々の状況によって異なります。

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