従業員持株会に上限まで入れて、3か月ごとに全部売る

2026.10.31公開

勤務先の従業員持株会に、月と賞与の上限まで入れている。年間の拠出は180万円、会社からの奨励金が36万円。ただし株は持ち続けず、3か月ごとに全部売ってインデックスファンドに移す。奨励金だけを受け取って、集中投資は引き受けないという考え方と、そのために先に決めたルールの記録。

勤務先に従業員持株会があり、2026年9月の給与分から拠出を始めた。月々と賞与、どちらも規約上の上限まで入れている。

ただし株を持ち続けるつもりはない。3か月ごとに全部売って、インデックスファンドに移す。奨励金だけをもらって、自社株の値動きは引き受けないという形にしている。

まだ始めて3か月目なので、うまくいったという話ではない。制度をどう読んで、どういうルールを先に決めたかの記録として書いておく。

従業員持株会とは何か

給与と賞与から天引きで自社株を買い続ける社内制度だ。多くの会社で、拠出額に対して会社が奨励金を上乗せしてくれる。

奨励金の率は会社によって違う。東京証券取引所の2024年度調査によると、持株会を持つ上場企業3,265社のうち96.6%にあたる3,154社が奨励金を支給している。金額は拠出金1,000円あたりで表され、最も多いのは100円以上150円未満で全体の43.9%。そのうち100円ちょうど、つまり10%の会社が1,391社と大半を占める。平均は107.24円だった。

うちは拠出金1,000円あたり200円、率にして20%だ。同じ調査で200円以上を支給している会社は全体の11%ほどなので、高い部類に入る。10,000円拠出すると12,000円分の株が買える計算になる。

もうひとつの特徴は、単元に満たない株数でも買えることだ。通常の株式投資は100株単位での購入になるが、持株会は拠出額に応じて小数点以下の株数まで積み上がっていく。毎月決まった額を同じ銘柄に入れ続けるので、ドルコスト平均法がそのまま機能する。

いくら入れているか

区分 金額 回数
月次拠出 100,000円 年12回
賞与拠出 300,000円 年2回
年間拠出 1,800,000円
奨励金(20%) 360,000円

どちらも規約で決められた上限いっぱいだ。手取りは当然そのぶん減るが、毎月の生活費が139,000円に収まっているので回せている。

なぜ上限まで入れるのか

理由はひとつで、奨励金が実質的な利回りとして大きすぎるからだ。

拠出した瞬間に20%上乗せされる。これは市場でどうこうして得られる水準ではない。インデックスファンドの期待リターンが年4%から7%と言われている中で、入金した時点で20%が確定するのだから、使わない理由が見つからなかった。

ただし注意点がある。奨励金は給与所得として課税される。36万円がまるごと手元に残るわけではなく、所得税と住民税が引かれる。それでも税引後で考えて、配当の再投資分も含めた年間の純増は26万円ほどになる見込みだ。株価の動きで上下10万円くらいは振れると思っている。

なぜ3か月ごとに売るのか

ここが一番考えた部分になる。

自社株を持ち続けるのは、給与と資産を同じ会社に賭けることになる。会社の業績が悪化したとき、給与も賞与も株価も同時に下がる。生活の基盤と投資先が完全に重なっているので、分散の観点では最悪の形だ。

奨励金は欲しい。でも集中投資は引き受けたくない。この2つを両立させるには、買ったらすぐ売るしかない。

そこで3か月ごとに引き出して売却し、全世界株式のインデックスファンドに移すことにした。売却のサイクルは年4回で、月末に申請すると翌月の上旬に代金が入る。賞与が乗るサイクルでは1回あたり約8.7万円、通常のサイクルでは約4.3万円が手取りになる見込みだ。

ただし単元未満の株は引き出せないので、実際には100株単位で切り出すことになる。端数は持株会の中に残り続ける。

売る前に確認したこと

自社株の売却には、普通の株式投資にはない制約がある。ここは法務に確認してから決めた。

都度の事前申出が必要

売却するたびに会社へ申し出て、承認を得る必要がある。承認までに2営業日かかる。思い立った日に売れる仕組みではないので、サイクルを先に決めておいた方が楽だ。

禁止期間がある

決算日から決算発表日までの間は売却できない。この期間は業績の数字を知りうる立場にあるとみなされるためだ。

さらに法務からは、発表の翌営業日以降にするよう推奨された。発表当日は株価が大きく動くので、タイミングを選んだと見られかねないという理由だった。四半期ごとに決算があるので、年間で見るとそれなりの期間が売却できないことになる。

買うときは規制されない

逆に、毎月の定額買付はインサイダー取引規制の対象外になっている。あらかじめ決めた額を自動で買い続けるだけで、本人の判断が介在しないからだ。だから拠出は何も気にせず続けられる。制約がかかるのは売るときだけになる。

運用ルールを先に決めた

売却のたびに迷わないよう、紙に書いて決めてある。

株価は見ずに成行で全株売る。 高いか安いかを判断し始めると、売らない理由がいくらでも出てくる。「もう少し上がってから」で持ち続けるのが一番避けたい結果なので、見ないことにした。

決算発表日当日は売らない。 法務の推奨に従う。

売った金はその月のうちに全世界株式へ移す。 現金のまま置いておくと使い道を考えてしまう。

奨励金率が10%を下回ったら休止する。 奨励金が目的で入っている以上、率が下がれば前提が変わる。

このうち最初の一つが一番大事だと思っている。ルールの中身よりも、売る前に迷わない仕組みを作ることの方が効く。

奨励金が下がったらどうするか

持株会に入る理由が奨励金である以上、率が変われば判断も変わる。制度は会社の業績や方針で見直されるので、下がる可能性は常にある。

先に線を引いておいた。

奨励金率 どうするか
15%以上 今のまま上限まで拠出する
10%〜15% 続けるが、拠出額を見直す
10%未満 休止する

なぜ10%で切るのか

拠出した瞬間に10%上乗せされるとしても、それは1回きりの利益だ。年間の拠出額に対する利回りとして見ると、見た目ほど大きくはならない。12月に入れた分は、年が明けるまで1か月しか経っていない。

そのうえ奨励金には所得税と住民税がかかる。税率を20%とすると、10%の奨励金は手取りベースで8%になる。さらに売却までに株価が動くリスクを負う。

ここまで削っていくと、インデックスファンドをただ積み立てるのと大差ない水準になる。それなら、売却のたびに申請して承認を待つ手間をかける意味がない。10%というのはそういう計算で出した線だ。

ちなみに10%という水準は、調査でいえば最も会社数の多い価格帯にあたる。つまり「平均的な持株会なら続ける意味が薄い」という結論になるので、これは自分の奨励金率が高いことを前提にした線引きだと断っておく。

退会ではなく休止を選ぶ

規約上、一度退会すると約1年間は再入会できない。奨励金が一時的に下がっただけで退会してしまうと、戻ったときに入れない。

休止なら拠出を止めるだけで、会員の資格は残る。率が戻ったら再開できる。制度の変更は往復することがあるので、戻れる形にしておきたい。

率が上がる場合もある

下がる話ばかり書いたが、逆もある。その場合も上限は上限なので、こちらの行動は変わらない。すでに上限まで入れているから、増やす余地がない。

これは上限まで入れていることの副作用で、良い変化があっても受け取れる量が決まっているということになる。

受け皿の口座を先に作る

売却代金を受け取るには、持株会と提携している証券会社に自分の口座が必要になる。

提携先がどの証券会社になるかは会社が決めるので、こちらでは選べない。すでに別の証券会社でNISAをやっていても、持株会用に新しく口座を作ることになる場合が多い。開設には1週間から2週間かかるので、初回の売却を考えているなら早めに手を付けた方がいい。

口座の種類には選択肢がある。特定口座(源泉徴収あり)にしておくと、売却益の税金が自動で引かれて確定申告が不要になる。一般口座を選ぶと自分で損益計算をすることになる。年4回も売るなら、間違いなく源泉徴収ありが楽だ。

1年の流れ

毎月と毎回の賞与で拠出があり、3か月ごとに売却が入る。文章だと分かりにくいので、1年を通した動きを並べておく。

時期 やること
毎月 給与から100,000円を天引きで拠出(手続き不要)
賞与月(年2回) 賞与から300,000円を拠出(手続き不要)
3か月ごと・月末 売却を申し出る。承認に2営業日
申出の翌月上旬 売却代金が証券口座に入金される
入金後、同じ月のうち 全額を全世界株式のインデックスファンドへ
年1回 奨励金率と規約の変更がないか確認する

実際に手を動かすのは、3か月ごとの売却申請と、その後の買付だけになる。年8回、1回あたり10分ほどの作業だ。拠出は天引きなので何もしなくていい。

売却の月は、決算の前後を避けて決めている。禁止期間は四半期ごとに来るので、サイクルを一度組んでしまえば毎回同じ月になる。

気をつけている時期

年の変わり目。 売却益が出れば譲渡所得になる。特定口座(源泉徴収あり)にしておけば自動で処理されるが、年間の損益は把握しておきたいので、年末に一度だけ確認する。

賞与の直後。 一度に300,000円が出ていくので、賞与の手取りが思ったより少なくなる。別の支出をこの月に重ねないようにしている。

奨励金率の改定時期。 制度は会社の都合で変わる。年に一度は規約を読み直すことにしている。

向いている人と、そうでない人

向いている。 奨励金の率が10%以上あり、売却ルールを機械的に守れる人。あとは、毎月の拠出で手取りが減っても生活が回る人。

向いていない。 生活費がぎりぎりの人。持株会は積立額の変更に手続きが要るので、家計が苦しくなったときの機動性が低い。

特に注意が必要。 売らずに持ち続けるつもりの人。奨励金につられて上限まで入れて、そのまま10年置くと、資産のかなりの割合が1社に集中する。それを承知で会社の将来に賭けるなら一つの判断だが、「なんとなく売りそびれた」で同じ状態になるのは避けたい。

これからやること

初回の売却申請が11月30日で、入金は12月8日ごろの見込みだ。実際にいくら入って、いくら税金が引かれたのかは、終わってから数字で書き直すつもりでいる。

あとは、勤務先に自社株の取引に関する誓約書の提出義務がないかを自分で点検しておく。部署によっては追加の制約がかかることがあるので、これは先に確認しておきたい。

制度の名前は同じでも、奨励金の率も上限も売却の手続きも会社ごとに違う。ここに書いたのはあくまで自分の勤務先での話なので、詳細は自分の規約で確認してほしい。

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本記事は個人の記録であり、特定の金融商品の推奨や投資・税務上の助言ではありません。制度の適用可否は個々の状況によって異なります。

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